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　　　　　　　ささえ　ファンの方に朗報、詳細は以下をご覧下さい。

　　　　　ファンクラブの準備委員会では、ささえ　さんの日ごろの功労に対し三月二十五日のお誕生日の前に表彰状をお渡しすることにしましたのでここに謹んでお知らせいたします。　

　以下の文章は二年前、2000年の夏に書いたもので、年齢は当時のものです。

(オバーチャンの特技披露。歌に落語にジャンケンに、

カルタ取りまで何でもそろっています。お聴きになりたい方

ご覧になりたい方は♪をクリックしてください。)

　まずはオバーチャンのご紹介。えー、名前はささえ（本当は漢字で鶯子枝と書きます.）。明治38年3月25日生まれの94歳，もう3ヶ月もすればれっきとした95歳です。つい5年程前の90歳までは毎年、海外旅行でニュージーランドへ行っていました。毎週一回木曜日に施設のお迎えバスでデイケアへ。施設ではいつも優等生で，連絡簿によれば，「食事摂取は毎回全量，歌を歌えば（調子は外れていますが）大きな声で歌うし，百人一首をやれば読み手を引き受け、その上カルタも一番たくさん取る」といいます。ではぼちぼち、彼女の言行録をご披露するとしましょう。


「買ってはいけない」の広告とオバーチャン	そういう表情の時もないことはない、　とはマーチャンの弁

　第１話

　　オバーチャンの食事はとても９０歳以上の人のものとは思えない健啖振りです。そのいい例が植木屋さんが入ったときのおやつの時間でした。鎌倉のマーチャンがお八つを植木屋さんに薦めてちょっと席を外して戻ってみると，なんか様子がおかしい。どうぞ遠慮なく召し上がってといってひょいと植木屋さんのお皿を見ると空っぽです。そんなに早く食べてしまうはずないと，ふと机の下を見るとどうでしょう，オバーチャンは自分のはちゃっかり机の下にしまい

こんで，植木屋さんのを食べている所でした。これでは植木屋さんの出る幕はありません。そういえば普段夕食のときでも，席を外そうものならさっさと紋次郎のおかずに箸をつけ自分のはちゃっかりと確保しています。そこで植木屋さんの言葉を思い出しました。

　「お宅のオバーサンは江ノ島のとんびより上手(ｳﾜﾃ)ですな。ふう。」
　江ノ島のとんびは、噂によると観光客のお弁当を本人が手をつける前に急降下してきて掻っ攫うということです.。

　第2話

　　オバーチャンは意味はわからずとも新聞を読むのが大の好物.。今日も今日とて新聞を広げて見るとこんな記事が目に入りました。「淡谷のり子さん逝く。90歳」そこでオバーチャンのコメントが入ります。「ええっつ90歳だんて。.そんなに生きれば上等すぎるわ」ちなみに

　ご自分は94歳、呆れて物も言えません。新聞はかなり難しい漢字でも平気です。

　第３話

　オバーチャンは何にでも一生懸命。よく指相撲をするんですが、若いくせにいつもオバーチャンには完敗です。反射神経と眼が信じられないほどよい。勝ってもなかなか指をのけてくれない。まさにむかしのシャープ兄弟です。勝ったときは、嬉しさを全身に現しながら下からうす笑いを浮かべて見つめる。弱いんだネエ。そんな台詞が必ず後に続く.。そうして念を

　入れるようにこちとらの指を何度も何度も押さえつけては振り回すのです。私の方も幾度か挑戦してみるんですが、その都度まるで小鳥を見つけた鷹のような目付で襲い掛かってきては必ず勝利を勝ち取ります。うそだと思うんなら、あなたも一度挑戦してみるとよいと思いますﾖ。

　第４話

　オバーチャンの歌好きには驚きます。私が１冊、マーチャンが既に数冊、オバーチャンのために手製の童謡集を作ってあげましたが、歌いだすとその都度１冊上げてしまいます。機嫌のいいときはまた振り出しへ戻って歌いだします。まさに現代版キグチコヘイです。

　ただ最近、歌詞がかなりいい加減になってきました。『広瀬中佐』の歌も「とどろく筒音」が「とどろく靴音」になってしまったりするのです。マーチャンもそうですが、どうも我が家の家系には作家？の血が流れているようです。歌いやすいように歌詞を創作してしまうのです。でも聴いていると、その方がずっと面白い場合も往々にしてあります。いつか歌詞の間違いを指摘したことがありますが、歌詞なんぞどうだって良いんだ、と軽く一蹴されしまったのでそれからは何も云わないことにしました。

　またちょっと困ったことは、何でも解体してしまう癖があることです。われわれの苦心の作である歌集も、わずかの隙にバラバラにされてしまいます。袋とじにしてあると必ず間の紙を破ってしまいます。まあ、研究心が人一倍旺盛なのでしょう.。一時わが家系に前野良沢や杉田玄白がいるのではと思って、家系図を調べてみたこともあります。この間は施設のオネーサンが心を込めて作ってくださった綺麗な万華鏡、あっという間に「骨は骨、皮は皮の」みじめな姿になっておりました。早く言えばまあ、使い終わったトイレット.ペーパーの芯みたようになっていたとい云えば、お分かりいただけるのではないでしょうか。

　～オバーチャン川柳～

　１　オバーチャンのラップがいつしか乗り移り　　　∮∮∮∮

　２　オバーチャンにつられて飯がぐんとふえ　　　∈♪♪♪♪∋

　３　オバーチャンの御蔭でボケも休戦し　　　　　～∥～∥～∥　　


藤沢市の施設にて（左は紋次郎とオバーチャン､右はマーチャン､オバーチャン、紋次郎）

　誕生日はケーキをたらふく食べ
満足そうな表情を浮かべて

　ケーキのロウソク95本は多すぎて
とても並べられるものではありませんので悪しからず！

鎌倉マラソンの実況放送

読者のみなさま、みなさまの日頃の暖かいご声援のおかげで、このHＰではすでにお馴染みの「鎌倉のオバーチャン」がついに1週間ほど前､95歳の誕生日を迎えました。これも皆様のお励ましの賜物と感謝の気持ちを込めて先日の「鎌倉マラソンの実況放送」をここに再録させて頂くことにしました。

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　みなさん、こんにちは。きょうは一日雨で鬱陶しいですね。表へ出られない方は鎌倉マラソンの実況放送でおくつろぎください。

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　「みなさん、お元気ですか？ただ今から鎌倉マラソンの実況放送をお送りします。スタジオには宗さんをお招きしております。宗さん、こんにちは、今日の見所からひとつ。」
　「ソウですね、やはり西鎌倉のささえさんの活躍が焦点になるんじゃないですかね。」
　「有難うございます。それでは、今度はスタート地点にいる囃子アナに聞いてみましょう。
　囃子さん、ささえさんの調子はどうでしょうか？」
　「はい、こちらも雨が降っておりますが、お尋ねのオバーチャンは、ゼッケン18を付けて意気
軒昂であります、何でも大会役員が失礼なことを申したらしく、二、三箇所顔をひっ掻かれたそうです。待機中の救急班もこれからまた大忙しになるのではと今から緊張しているようです。」
　「はっはっは、相変わらずの元気ですね、それではお知らせの後またお伝えします。」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

　　「3号車、3号車。ささえさんの様子をお願いします。」
　　「はい3号車です、今スパートして独奏態勢に入りました。『靴が鳴る』を大声で歌っています。」
　　「やっぱり期待通りですね､宗さん、ところであの方のラップはどうでしょう？」
　　「ソウですね、オバーチャンはラップはラップでもラップ・ミュージックの方でしてね。」
　　「次に奏法に行きたいと思いますが､たしかオバーチャンのはピッチ奏法でしたね？」
　　「ええ、ピッチ奏法と云ってもピッチピッチ、チャップチャップ奏法といった方がより
　　正確でしょうね。いつも童謡ではかなりの筋力トレーニングを積んでいるようですから。」

　　「アッ、42番、49番、89番が続けてギブアップのようです、宗さん、宗さん、オバーチャンが沿道の人の喝采を浴びていますね。手を振っている人の中には毎週月曜と木曜にお世話になる藤沢市の施設のオネーサンたちも大勢見うけられます。」

　　「あれは沿道の人から力づけられているのではありません、得意のタイラバヤシ＊の触りの所を披露したところです。それからスタミナの方も全く心配ありません、きのうも夕飯を一人前ぺろりと平らげたそうですから。聞く所によると先日流感に掛かって、体温が39度近くあった時でさえ食事は平常どおりだったと云いますし……。」

　「そうですか、所で、ささえさん、途中でスペッシャルドリンクはとるでしょうか？」

　「なんか代理コーチの紋次郎さんが、途中4箇所に唐辛子ブランドの美味しいケーキや好物の温泉饅頭＊を置いているそうです。」

　　「なるほど、そう云えば鎌倉のオバーチャンの音楽のレパートリーはかなりのものと聞いていますが？」
　　「ソウですね、評論家の中には童謡から軍歌、賛美歌からラジオ歌謡、外国の国歌に至るまで何でもこなすオールラウンド・プレイヤーとまで誉めそやす人もあるそうですよ。」
　「じゃあ、カラオケなんかはどうでしょう？」カラオケだなんてとんでもない、あの方は、食い物の入ってない空桶なんぞにゃ絶対目もくれませんよ。何しろ日頃から食欲こそエネルギーの源泉だと思い込んでいますかﾈｴ｡」

　「それじゃあ、去年大ヒットした郷ひろみの『アッチッチイ』なんかはいかがでしょうか？」
　「それはお好きなようですよ､なにしろあの方は猫舌ですからねえ、むしろよくやっている方じゃないですかあ、味噌汁を飲みかけてはアッチッチイ、アッチッチイって。」

　　「あっはっは、それはどうですかねえ。あっ、いよいよ上り坂にかかりました、しかしあんなに河岸（ほんとうは歌詞の意)を飛ばして大丈夫なんでしょうかね、宗さん？」「ノープロブレム、まったく問題ありません、日頃たくさん食べ、たくさん歌い、たくさん出していますからね、アウトプットの方もいつも巨大な奴で、恐竜なみのウンチを出しますよ。また坂に来るとドッコイショ、ドッコイショと掛け声をかけるのも彼女の際立った特徴ですねえ。」

　　「沿道にはもちろん最初から鎌倉のマーチャンが付きっ切りで伴奏しています、あのひとの影の力がなんと言っても大きいですね。それにしても賢兄の車が見あたりませんが？」

　　「はい、私にも愚兄の姿しか目に入りません。」　
　「ついに独奏態勢に入りました。しかし凄いパワーですね、わたしにはとても要介護４の人には思えないんですがね、顔をリンゴのように真っ赤にして。ついに西鎌倉競技場に姿を現しました。

　会場の喚声が耳を劈くばかりです。今やささえさんのトレードマークになっている、『とどろく靴音』がトラックに響いています。余すところあと９００メートルほどです、ついに、ついに９５歳のゴールが

　目前に迫ってきました。95歳を軽くクリアーしたとなると宗さん、今度は１００歳レースに挑戦という事になりますかね？ささえさんは今得意のささえスマイルを浮かべて大観衆に手を振っているところです。宗さん、きょうは一日ありがとうございました、はい、こちらからは以上です。」　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―お開き―

参考：＊1…タイラバヤシは落語でオバーチャンの得意芸のひとつ。
　　　＊2…温泉饅頭は不調のとき､施設の人に「温泉饅頭！」と呼びかけられると途端にシャキッ。


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